現場代理人ってなに?

主任技術者や監理技術者と何が違うの?

山之内

現場代理人について見ていきましょう!

現場代理人とは?

現場代理人とは?

現場代理人をかんたんに言うと、

工事請負人の代理として、現場を仕切る人

法人であれば代表取締役、個人であれば事業主の代わりに工事現場に常駐して、工程管理や安全管理を行います。

工事請負人である経営者が現場管理を行うのが本来の形ですが、現場が複数ある場合は1人で現場を管理するのは難しいですよね。

そこで、従業員の中から現場代理人を決めて、権限を一任します。

オーナーが複数お店を持っていても、全部を1人で見ることはできないから、各店舗に店長を置くみたいなものです。

仕事内容として下記の通り。

工程管理
 工期に間に合うように、建設工事の手順や段取りを決めます。

労働管理
 現場で働く作業員や関係者の労働時間や休日、給与の管理をします。

安全管理
 建材や機械を適切な場所に配置し、管理します。

関係者との協議
 経営者に代わって関係者との協議、発注者との交渉や近隣住民のクレーム対応も行います。

ただし、以下のことは現場代理人では行えません。

・請負代金を変更する

・請負代金の請求または受領する

・工期を変更する

現場代理人が必要な理由

どうして現場代理人が必要なのでしょうか?

請負人や発注者が現場で直接指示を行うことは少ないです。

些細な変更点を請負人に毎回確認しながら進めると、工事に遅れが出てきてしまいます。

そこで請負人に代わって「変更を求めたり承諾する権限を持った」現場代理人を置くことで、工事をスムーズに進められます。

現場代理人になるには?

現場代理人になるのに法律上の義務や資格、実務経験は必要ありません。

しかし具体的な要件は発注者によって異なります。

公共工事に関しては、「請負人と直接雇用関係にあること」や「入札申し込みのあった日以前に3か月以上の雇用関係にあること」などの要件があります。

法律上の義務や資格は必要ありませんが、工事の施工に関する知識や経験がなければ現場を回すのは難しいです。

また、現場の職人や作業員から信頼を得ることも難しいでしょう。

山之内

私も何もわからず現場代理人になったことがありますが、職人さんからほとんど無視されてしましたね💦

現場代理人はどんなときに必要?

現場代理人の配置義務

実は建設業法上、現場代理人の配置が義務付けられているわけではありません。

ですが民間工事の場合は、契約書に「現場代理人を配置する」と明記されていれば、現場代理人を配置する必要があります。

また公共工事の場合は、「公共工事標準請負契約約款」というもので定められているので配置が必要です。

現場代理人は原則常駐することが求められていましたが、「公共工事標準請負契約約款の改正」で条件が緩和されました。

①工事の規模・内容について、安全管理・工程管理等の工事現場の運営、取り締まり等が困難でないもの

②発注者または監督員と常に携帯電話等で連絡を取れること

ですので、ごく小規模な公共工事で、すぐに連絡が取れるような場合は常駐しなくてもいい場合もあります。

主任技術者や監理技術者との違い

ここまでの説明を聞くと、主任技術者や監理技術者と似ていますよね。

しかし法律上や資格などで大きな違いがあります。

 主任技術者監理技術者現場代理人
法律上の常駐義務ありありなし
法律上の配置義務ありありなし
資格必要必要不要
雇用関係ありありなし
(公共工事の場合は直接的かつ恒常的)

主任技術者や監理技術者は、

なるのに資格が必要だったり、法律上の配置義務があったりします。

一方、現場代理人には資格も配置義務もありません。

注意点

最後に現場代理人について知っておくべき注意点をお伝えします。

・工事期間中の現場代理人の変更は原則不可

・現場代理人を選んだら発注者に書面で通知する義務がある

・主任技術者や監理技術者との兼務

工事期間中の現場代理人の変更は原則不可

現場代理人は、原則として工事期間途中に変更できません。退職や病気、死亡など管理業務に支障をきたす場合のみ変更できます。

現場代理人を定めたら発注者に書面で通知する義務がある

現場代理人を決めたら、書面による通知をしなければなりません。

注文者に対する権限に関する事項

請負人の代行をするので、「誰が、何を、どこまで代理できるか」を具体的にした代理権の授与通知を書面で作成しなければなりません。

請負人に対する意見の申出方法

「建設現場で不測の事態が起きた」などで、現場代理人が発注者に意見を申し出たいときの手続きを明確にして、共有しなければなりません。

言った言っていないのトラブルを防ぐためにも一般的に書面で理由を明確にするケースが多いようです。

主任技術者や監理技術者との兼務

法律上、現場代理人の兼務は可能です。しかし、契約内容によっては認められないものもあります。

以下の3つの要件を満たした場合は主任技術者、監理技術者との兼務が可能です。

・兼任する工事の件数が少数である

・兼任する工事の現場間の距離が一定範囲である

・発注者または監督員が求めた場合は、速やかに現場に向かえる

まとめ

現場代理人とは「工事請負人の代理として、現場を仕切る人」です。

工事請負人の代わりに工事現場に常駐して、工程管理や安全管理を行います。

法律上の配置義務はありませんが、

民間工事では契約内容により配置義務が生じたり、公共工事では「公共工事標準請負契約約款」で定められているので配置が必要になります。

現場代理人になるのに法律上の義務や資格は必要ありませんが、現場を回すだけの工事の施工に関する知識や経験が必須です。